Vin sans chimie de Domaine Sogga      Vigne sans chimie de Domaine Sogga

○私達の前には誰もいない。私達の後にも誰もいない....「私達の行っていることは間違っているのか?」・・・・日本のサンシミ JASオーガニック メルロやカベルネ達。

2015年の冬で、10年目。我々ドメイヌソガは愚直にメルロやシャルドネなどの欧州系ワイン葡萄品種をサンシミ栽培、有機栽培(2011年よりJASオーガニック認証)をしてきましたが、JASオーガニックに至っては未だ私達の後を継ぐ人達、ワインが日本には現れません。

「私達の行っていることは間違っているのか?」と不安になることがあります。

妻に「時代が付いてこないのは貴方の行っていることが早すぎているだけよ」とたしなめてもらい、心落ち着かせています。

誰もがメルロなどをサンシミ、JASオーガニックで栽培して初めて気付くことかと思いますが、一言「無理!」と言いたくなるほどの努力、忍耐、観察が必要です。10年経ても誰も真似しないことは「なかなか真似できない」ことの裏返しでもあるのかもしれません。

「10年」という節目の今。日本という過酷な極東の地で前人未踏(前葡萄未踏)の金字塔を打ち立て続けてくれている「ドメイヌソガのワイン畑に植わるサンシミの葡萄の樹達」に改めて感謝したいです。

また普段、自分達を褒めるようなことは一切しない我々ですが、「私の無謀なチャレンジに付き従ってきてくれたドメイヌソガ レキップ、そして親愛なる家族」を褒めてやって欲しいです。幾多の試練がありましたがここまで緊張を切らすこと無く生きてこられた自分自身にもすこしだけ褒めてやりたいと思っています。ドメイヌソガのチャレンジはまだまだ続きます。まずは仲間を一人増やすことからかな。 (2015/10/14)

 

○サン シミとは( Sans chimieフランス語)

Making wine and grapes witheout chemicals. sans(サン)は英語でwithout。chimie(シミ)は英語でchemical。

すなわち「ワイン畑で化学的な農薬、肥料を一切使わない」という意味を込めています。有機栽培または無化学農薬栽培のこと。

★Vin sans chimieは栽培と醸造において化学的な物を使わないワインという意。有機栽培(無化学農薬栽培)をしながら醸造では砂糖、酸類、市販培養酵母、酵母栄養剤、澱下げ剤、濾過助剤など一切使用しないでワイン造ります。

★Vigne sans chimieは栽培において一切化学的な物を使わない葡萄という意味です。有機栽培(無化学農薬栽培)をするため、残留性農薬ゼロの葡萄からワインを作ります。

 

2013年8月

「ビオ」「ナチュレル」「自然派」の字がラベルから消えている訳  


いままで「ヴァン ナチュレル」「ヴァン ビオロジック」と冠していたワインが2013年8月発売のワインのラベルから「サンシミ」に事前通告なしで替えてしまいました。皆様、ご迷惑をおかけしてすみませんでした。我々の裏ラベルの小さな字を虫眼鏡で読んで頂いてる方はすでにご存じかとおもいますが、改めてご説明させていただきたいとおもいます。
自然派食品、自然派ワインという言葉が安易に使われるようになってしまった現在の日本。ぎりぎりまで神経をすり減らし、心を痛めながら虫を捕殺し、酷暑に倒れながら疫病から葡萄を守る我々のJAS有機または無化学農薬栽培を冒涜しているかのような「安易な自然派ワイン」に辟易した我々はラベルに「ヴァン ナチュレル」「ビオ」「自然派」を冠することがとても陳腐に覚え、辞めることにしました。
「味が自然派っぽいから自然派ワイン」「亜硫酸を使わないから自然派ワイン」「化学農薬を1回しか使っていないから自然派ワイン」「自然派っぽい格好の良い人が造っているから自然派ワイン」などのワインを世間が「自然派」として今後も受け入れられ続けるなら私達は邪魔者であるはずでこのワインの世界から去るべきなのでしょう。サンシミのワインだからすごいとか、サンシミのワインしかワインじゃないと言いたいのではありません。我々が守りたいのは名誉ではなく、農夫としての尊厳によるアイデンティティです。

無化学農薬栽培は「有機栽培」と同じですが私達はJAS有機栽培認証を取得した畑のみ「有機栽培」と呼び、それ以外の有機栽培畑を無化学農薬栽培畑と区別して呼んでいます。

 

2011年7月

★ 2011年7月、3枚の畑をJAS有機認証(Codex委員会に準拠した世界標準の有機認証)を取得できました。有機転換してから6年目での取得です。カベルネメルロなどの欧州系ワインブドウでは日本初の出来事でしたので時間がかかってしまいました。2008年と2009年2010年転換中の畑は順次認証を目指します。2007年、フランスでのワインブドウ有機栽培家マークアンジェリとギーボサールが小布施に来たとき、私に言いました。「日本で初めてワインぶどうの有機栽培(culture biologique or organic)やビオディナミにチャレンジするなら、必ず認証を取りなさい。これからの日本のためにも。将来必ずエセ有機栽培家が必ずでてくる。それを防ぐためにも第3者機関の認証が必要だ。フランスやヨーロッパでも認証を取得しないで「我々は有機栽培している」とか「我々はビオディナミをしている」と言っている人たちがいるが、実際、有機栽培やビオディナミをしていない人たちが沢山いる」と。私達は「有機認証にはお金がかかる」と食い下がりました。その答えにたいして「これからの日本のために取りなさい」と。私達はマークアンジェリとギーボサールの言葉の重さを感じ、お金と手間がかかりましたが、有機認証という大きな壁に挑みました。そしてようやく、取得できたわけです。

有機栽培や無化学農薬栽培でムラサキ農場(第一から第七)のメルロ、カベルネソーヴィニヨン、シャルドネ、ピノノワール、シラーなどを作りました。「日本で欧州葡萄の有機栽培は無理だ!」と、葡萄生産農家、ソムリエの方々に言われ続けてきた今まで。実際、日本での有機栽培を諦めていた自分。「無理」と言われたのには理由があります。日本は高温多湿。そして梅雨と秋雨と雨期がある。日本で長い間育てられてきた甲州ブドウなどと違い、乾燥した大地である欧州生まれのワイン専用葡萄が日本では無理があると思われてきたからです。しかし、2005年の雹害により「なにかが吹っ切れ」て、今まで見えなかった何かが見えてきたのでした。この、有機栽培は闇雲に始めたのではありません。10年の歳月もの間、減農薬栽培、無施肥を試みてきた結果であるといえます。特にムラサキ農場の葡萄は減農薬であっても自然の力に逆らうことなく葡萄を実らせることに気づきました。そこでこのワイン畑に白羽の矢がたったのです。完全有機栽培は、そこまでに達するまで長い歳月を経てようやくたどり着いたと言えます。小布施は自社農場8ha中4haをサンシミにし、さらにその内1.5haをJAS有機認証取得しています。


★有機栽培と無化学農薬栽培の実際

○使用した散布剤

1)硫黄ー石灰 合剤

2)ボルドー液(硫酸銅ー石灰 合剤)

(この二つの薬は100年以上も昔から使われていた単純な構造のもの。葡萄の体内に浸透性能が無いため、雨風が吹くと流されて効果がなくなる。硫黄、銅、石灰は地球上に存在する物質であることと、残留性が無いため安心な薬として、有機農法やビオディナミなどに使用することを許されています)

○使わない散布剤  1)除草剤2)殺虫剤3)現代殺菌剤

3種の散布剤(除草剤、殺虫剤、現代殺菌剤)とも有機化学合成農薬。主に浸透性能に優れ、葡萄の体に入り効果を表す農薬。残留性があります。そのため、有機栽培では使用を許されていません。



★私達の考える有機栽培の概念  ハーバーボッシュから紐解く

20世紀に入ってからハーバー&ボッシュが大気中に大量に存在する窒素をアンモニアにする技術が開発されると、農業は飛躍的に進歩
しました。19世紀以前は人糞や家畜の堆肥が日本農業の唯一の窒素源であったわけですが、その窒素が化学的に採れ、それが化学肥料
となりました。
現在では有機肥料というと家畜の堆肥を指しますが、その家畜は化学肥料によって造られたトウモロコシや麦などを食べて大きくなり
糞をします。すなわち、現在の有機肥料は形こそ化学肥料ではないのですが、本来、地球上に存在するべき糞ではなかったのです。
19世紀以前の地球上の窒素は豆科植物にすむ根粒菌と呼ばれる微生物が唯一、大気中に窒素を土の中に固定し、肥料とさせていました。
また、根粒菌が窒素固定すると同じく、地球上では「脱窒」と呼ばれる作用、すなわち土から自然に大気中に窒素がもどる作業がおこな
われていて、大気中の窒素の地球の地表にある窒素のバランスは自然界で守られていました。
それが20世紀に完全に崩れ去ったのです。
極端な言い方をしますと「世界中の農地の大半は本来有るべきでない、窒素が沢山存在している」と言えます。私たちの畑を例にとり
ましょう。日本の農業が飛躍的に窒素系化学肥料を使うようになったのは戦後です。戦後まもなくは、世界大戦の傷跡癒えず、世界的な
食糧不足が続いたので、この化学肥料は私達人間にとってその時期は必要不可欠なモノであったはずです。ただ、現在もこれだけの化学
肥料が地球上に必要かと問われれば、必要とは言い難いものがあるのではないでしょうか。すなわち、私達は50年以上、不必要であった
かもしれない化学肥料を畑に撒きつづけたことにより、ワイン畑の土は本来有るべきでない大量の窒素が存在することになります。
人間のような理性が働かない植物は土中に栄養があれば摂取します。そうすることにより、葡萄の木はメタボリックになります。
メタボの葡萄の木は人間と同じように病気にもなりやすいですし、害虫にもおかされやすくなる訳です。そこで殺虫剤や殺菌剤を撒きます。
さらに、栄養が沢山あるのでたわわに実がなります。そうすることにより葡萄の色が不足するため着色促進剤を撒きます。農薬により病気
や虫もこなくなりさらに葡萄に色が着色するようになるとなると、また人間は多収穫をめざして、再度、本来地球上にあるはずのない肥料
(有機肥料も含む)を撒いてしまい、また農薬を撒くという連鎖をおこしているのかもしれません。
残念ながら、窒素過多になってしまった土壌を元にもどすことは容易ではありません。私達は無力です。土を元にもどすことができる
唯一の手段、それはそこに生える草木たちが時間をかけてゆっくり土の窒素(毒素?)を抜き取り浄化してくれるのです。私達が普段
邪魔者扱いする雑草たちがその役目をはたしてくれています。、瘴気(有毒ガス)が充満する「腐海」と呼ばれる菌類の森は実は、腐海
の土を浄化していた、、、映画のようですね。
ですので、私たちは、これからも有機肥料と化学肥料は撒かないつもりです。ただしすこしずつ本来の土に戻ったとき、そこで本来ある
べき有機肥料(海外の穀物を食べる家畜でなく草原に生えている草だけを食べてそだった家畜の肥料がベストです)を撒こうと思ってい
ます。
わたしたちもそんな滋味豊かなワインを造りたいとおもっています。




★小布施ワイナリーのサンシミ。亜硫酸、補糖、補酸、酵母の概念

小布施ワイナリーのサンシミワインは亜硫酸を足しますが補酸、補糖、酵母添加をしません。これには私たちなりの理由があります。

亜硫酸の歴史は、、、

亜硫酸の利用は、ローマ時代に遡ると言われ、ローマ人は体験的にワイン樽の中で硫黄を燃やして亜硫酸ガスを発生させていたと考えられています。ローマ人は木樽を考案した人々であり、この木樽を微生物汚染から守るために経験上から亜硫酸ガスを使用していたわけです。

また補酸に使われる酒石酸の歴史を紐解くと、、、以下ウィキペディア、Science airより

1772年 シューレー(1742-1786)酒石酸、乳酸の発見

1822年 ポール ケストナー (現GEAグループ創業者)は,酒石酸塩の製造の際,副生物としてぶどう酸を得た

1848年 パスツール(1822-1895)1822-1895酒石酸の光学異性体と結晶の関係の研究(ラセミ体を光学分割することに成功)

従いまして、L酒石酸の天然物からの抽出は16世紀で有りました。しかし、ワインに使えるような酒石酸の工業的大量生産は早くとも18世紀以降であることが解ります。


さらに補糖に使われる砂糖(グラニュー糖やブドウ糖)の歴史を見てみると、、以下Science@sugarなどより

1096年以降 十字軍の将兵が砂糖を持ち帰り、ヨーロッパに次第に広まる。

1544年 ロンドンに最初の精製糖工場

1747年 ドイツの科学者マルク・グラーフがテンサイからの製糖に成功。

1756年〜1832 ジャンアントワーヌシャプタル(ナポレオン一世時代の農務大臣)はブドウ果汁に補糖することを認可した

砂糖自体が貴重な時代に補糖をすることは考えられませんので補糖も18世紀以降の技術であることは想像に難しくありません。

酵母に関しては、、、、

1822年〜1895年 パスツールはアルコール発酵が酵母の働きによること、また酢酸発酵が別種の微生物の働きによることを確認。すなわち、培養酵母の技術はまだ現代の技術であります。

ですので、小布施のビオのワインで亜硫酸を使うべきかどうかというのは歴史を紐解いて考えています。砂糖も酒石酸も大量に摂取すれば毒であるように、どの物質も許容量があります。亜硫酸も適度に使ってきたローマ時代以降のヨーロッパ人が長きにわたり人体実験をした中で、安全と捉えてきた訳です。

除草剤、殺虫剤、化学肥料、化学殺菌剤などは戦後ドイツや日本で人を殺すために生まれてきた薬品の副産物として生まれてきました。それらに歴史はまだ80年も経っていません。ですので小布施のビオで使用しないというわけです。現在100年前に開発されたと言われているボルドー液や硫黄剤のみ唯一使用しています(ボルドー液は1885年フランス、ボルドー大学教授ミヤルデが開発)

「ワインに使用すべき物はワインの歴史を紐解いてから考える」この発想はあまのじゃくな私だからでしょうか。ご感想をお聞かせ下さい

 

★小布施のVin sans chimieは健康に良いのではなく地球に優しい、癒しのワインで在りたい

1)醸造におけるVin sans chimie

結論から申し上げますと、醸造におけるvin sans chimieは意識していません。私たちの考えるvin sans chimieは「地球にやさしい」ことが一番でありたい。醸造は確かに重要なワイン作りのファクターであることは間違いないのですが、やはり「栽培における私たちの思想」、それがワインに反映されるものであるべきだと考えます。日本では醸造学の発達により消費者も「無添加」「天然酵母、自然酵母」というキャッチーなフレーズに健康面の安心感を覚えるようです。それに便乗してか「無添加ワイン」とか「有機栽培ワイン」の市場は「追い風」と聞きます。斯く言う私も、「サンスーフル(亜硫酸無添加)、ルヴューソヴァージュ(自然酵母)」を作ってきました。が、上のような便乗ワインと一線を画し、「身体に沁みいる味わいを求めて」という意味でスタンスをおき、フランス語のサンスーフルやルヴューソヴァージュ等と言ってきました。その私も最近は「vin sans chimie」を更に深く追求し続けて、葡萄を有機栽培や無化学農薬栽培にせず、「サンスーフル、ルヴューソヴァージュ」だけに固執するのはナンセンスと感じるようになってきたのでした。私には、味わいとして「身体に沁みいる味わい」に感じる「サンスーフル、自然酵母」は今後もさらに品質向上をめざせるように続けていく必要があると思いますが、本質をもっと追求したものを増やしていきたいとおもいます。ですので、今回はすべての小布施のvin sans chimieには亜硫酸が必要最小限加えられています(Vigne Sans Chimieは畑では有機栽培または無化学農薬栽培しているのですが補糖、補酸をせざるを得ない葡萄のワインを呼んでいます)。

2)自然派ワイン

一般に自然派ワイン(vin naturel)と呼ばれる 一部のヨーロッパワインには一般の方に好まれない味や香り(揮発酸、フェノレ)があるものがあります。これの多くは天然酵母の醸造に起因する物であります。ただ、残念なことに有機栽培やビオディナミでぶどうを作ったから出る味になると思われてしまっているところがあります。これはとても残念なことであります。私たちは日本で殆ど行われていないカベルネなどの欧州系ワインぶどうを有機栽培でおこなうからこそ、なるべく欠点のないワインを作らねばならないと考えています。そうしないと同業者から「小布施ワイナリーが有機栽培であんな不味いワインを作っているから俺たちは有機栽培をやらない」と言われてしまうかもしれないからです。「小布施でも有機栽培でまともに欧州系ワイン葡萄が採れ、良いワインができるんだから、俺たちはもっと良いワインを有機栽培で作れるはず」、と思ってもらえるようなワインを作らねばらならない重責を背負う覚悟です。一つだけ忘れてはならないことは、「純粋培養酵母で計算して出すことの出来ない香味」は必ずあり、それがワインの味わいに「少々」含まれることは、「生き物としての人間が潜在的に持つ官能的な感覚」を呼び覚まし、心も体も癒してくれます。その意味においても小布施が天然酵母を使用した意味はワインを飲んでいただければ解ると思います。

3)ビオディナミ(バイオダイナミック)と有機栽培、無化学農薬栽培

世界の自然派ワイン(vin naturel)には様々なモノがあります。ビオロジックは有機栽培、そしてビオディナミはルドルフシュタイナーの提唱した農法(生力学農法)。私たちが有機栽培を選んだ理由はまだ日本でのビオディナミ農法が確立されてなく、情報がヨーロッパから伝わるのみで、「月の動きや調合剤」のことで私は頭がいっぱいになり「葡萄と対話する」本質が見えなくなってしまうと感じたからです。しかしながら、ルドルフシュタイナーの述べていることは決して間違っているとは考えていません。かつて、古き良き日本で行われていた農法の一つであると考えます。シュタイナー教育が日本でも昔の親が普通に教育していたことと同じであるように。また「観察する」という理念はシュタイナー教育も同様ビオディナミや有機農法でも大変重要な言葉です。

私の考えるシュタイナー像があります。シュタイナーは私達農家のために、考えた農法がビオディナミなのでは。シュタイナーは農家の深い心理を読んだ農法と私は考えます。私達農家は真面目に葡萄の木達と向き合うとき、できるだけなにかを施してあげたいと考えます(生まれた子供にいろんなものを買ってあげたいと思う心境と同じです)。その気持ちが農薬散布や肥料散布につながっていきます。現在の私達の住む田舎は「肥料を撒かない農家はやる気のない農家」と思われます。同様、「農薬を撒かない農家はやる気の無い農家」とおもわれるのです。すなわち、葡萄が愛おしいからこそ、農薬を撒くという心境なのだとおもいます。私も現代的な農業者の気持ちはわからないわけではないです。葡萄たちをほったらかしていれば、私達は心配になります。なのでなにかお守り替わりとして、保険としてなにか散布したいのです。現代農業の農薬散布は 防除  という概念で撒かれます。すなわち予防という意味で散布します。病気が出る前、または虫がでる前に撒くわけです。この農家の心理を汲んで、シュタイナーはビオディナミ農法を考えたのではと私は考えます。農家は畑に散布したり撒きたいという気持ちをシュタイナーは理解していたのです。なので敢えて、501番などの調合材を撒くことを勧めているのではないでしょうか。私達農家は何かを撒くことで「救われ」ます。たとえ、それが実際効能がなくとも(効果はあると思いますが、無かったとしても)シュタイナーさんがこれを撒けば大丈夫といわれれば撒いて安心します「プラセボ効果」。肥料も沢山撒きたくなるのですが、敢えて牛の角に牛糞をいれると効果があることを農家に諭すと私達はそこに救いをもとめて角に牛糞を詰め込んで翌年撒きます。角に入る牛糞の量は限られています。私達人間は葡萄たちのためと思って肥料を沢山いれたくなる心理をシュタイナーは理解していたのです。沢山撒けは葡萄がメタボになってしまうかもしれないので、ほどほど撒くように教えてくれているのだと私は考えます。信じるものは救われる。私達の不安をシュタイナーは農薬ではなく、調合材でいやしてくれているのではないかと感じています。そんなことを考えれば改めてシュタイナーの偉大さを感じます。調合剤に頼らず、何かを施さないと不安でならないという気持ちを絶ち、自らの意志を強く持ち葡萄の木の観察を冷静にできるようなビオディナミ農法になるとそれは有機農法といえるのではないかとおもいます。