★自社農場100%化
同業者によく言われます。「えーぇ、まだワイン畑増やすの?!」
確かに通常の日本のワイナリー経営から考えますと、小布施ワイナリーのワイン畑の広げ方はヘンに写るものです。
なぜ、それでも畑を増やしているのか、その理由は「自社農場100%化を目指しているからです。私たちは増産を目的で畑を増やしているのではありません!
日本の農業は利益をだすのはとても難しいです。そのため、ワイナリーが葡萄を作る、すなわり農業をすることは大きなリスクを伴います。
リスクの原因1)日本のワイン販売は乱高下が激しいためワイン不況がおきると葡萄があまる可能性がある(ワイン原料の葡萄は同じアルコール飲料である焼酎原料の芋などや日本酒原料の米の単年作物と違い、永年作物であります。そのため、葡萄を植えてから葡萄が実るまで少なくとも4年はかかります。ですのでワインブームの際、農家に「葡萄を植えてください」と植えさても実る頃にはブームが去っているということが過去の日本のワイン産地では多くありました。一部のワイン産地では農家とワイナリーの仲違いが激しい所も依然としてあります。それに比べ焼酎の芋や日本酒の米は単年作物であるため、売れないときは休耕田にすればいよく、売れるときに作物を植えてもその年にはすぐ実る訳であります。2)ワイン葡萄栽培は天候に影響を受けやすい
そのため日本のワイナリーの多くは葡萄栽培を農家の方に依頼する「契約農家」という形を取っています。しかし、よく考えてみてください。すなわち、農家の皆さんにリスクを背負わせて、自分たちが楽しようという構図が見えてきませんか?
★よく地元の農家の方に「何故、俺たちに葡萄を作らせてくれないのだ」と言われても、契約農家をつくらないか?
私たちの真っ赤っかな農業分門での赤字、そして年間のワイナリー売り上げ(一億)ほどにも登る投資(自分たちできこりや開墾、苗作りをしても!)をワイン畑に行ってきて未だ回収出来てないことを知っている担当税理士は「農家にぶどうを作ってもらったら、赤字がなくなるのに!どうして!?」と言われます。
地元の農家の皆さんも私たちにとって、大切なお客様です。そんなお客様にリスクを背負わせて自分たちが左団扇、なんて出来ません。契約農家制度はある時までは機能するのですが、必ず破綻して争いとなります。
ワイン葡萄は見栄えではなく、味が重要です。ですのでワインを醸造する人間は原料に関しては大変シビアです。なのでワインのデイが悪いとき醸造家はどうしても栽培家の責任転嫁をします(私はそのような現場を何度も他の産地で見てきました)たしかに栽培家(農家)の責任である場合もありますが、栽培と醸造を両方やる私からすると、年間の12ヶ月を費やしてきた農家の悪口をいう醸造家を認めることができません。いつも農家は弱い立場になってしまうのです)
今、現在、小布施の周りの農業は厳しい状況であり、最安値が止まらないリンゴや巨峰を作るより、ワイン葡萄を作るほうが楽に見えるのは、解ります。しかしながら、両方とも経験した私には「リンゴや巨峰のほうがよっぽど楽で儲かるのです」ヨーロッパ仕立ての垣根栽培でのワイン葡萄は儲かりませんし、リスクが高すぎます。なので私たちは自己責任の下でワインを作る為に敢えてリスクを負ってでも、自らの手でワイン葡萄を作るのです。
★小布施のワインがごく一部のワインショップでしか、手に入らない理由
以上の理由からすでに、ご理解いただけたと思います。日本ではワインの文化がまだ根付いていないため、酒販店の方でもワインを焼酎や日本酒と同じように考えて「どうして、私の所に売ってくれないのだ!増産すればいいだろ」と言われます。しかしそれは無理なのです。
私たち小布施ワイナリーは「現状維持」という言葉をよく使います。これは「現在の資本主義の論点から」という前置きの中で「現状維持は後退」であると良く指摘を受けます。しかし、世界中の歴史有るワイン生産地では「後退無き現状維持」を実現しています。それはたゆまぬ品質面での向上、歪むことのないポリシーがなせる技です。私たちは「後退無き現状維持」を目指します。
★現在の葡萄
私たちは毎年自社農場比率を高めています。しかしながら、まだ100%までには至っていません。その足りない葡萄は私たちの現在と将来を理解してくださる農家の方に信頼関係でわけていただいています。そのため、私たちを信頼してくださって契約栽培でもないのにわけてくださる農家の皆さんの為にもなるべく早い自社農場100%が必要です。